自己破産は怖くない!

借金で困っている人の多くは自己破産に「再起不能な手続き」「職業も生活も制限される恐ろしい手続き」といった印象を持っているようです。

自己破産は怖い手続きではありません。自己破産の印象が独り歩きし、必要以上に怖がられているだけです。自己破産の情報にはウソも多く含まれています。

自己破産は怖くない!

弁護士が自己破産はなぜ怖くないのか、自己破産のメリットやデメリットの観点から解説します。合わせて、借金で困っている人が相談の際に抱いている自己破産の誤った情報についてもメスを入れたいと思います。

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自己破産とは?

自己破産とは、借金の免責を受ける手続きです。裁判所で自己破産の手続きをすると、財産の清算が行われます。裁判所の介入のもとに財産を清算し、その上で借金を免責(ゼロ)にしてもらう手続きが自己破産になります。

借金返済のために次々と新たな借入を繰り返している。

もはや、自分の収入では借金を返しきれない。

このようなケースで借金苦の解決に使われるのが自己破産になります。

自己破産・任意整理・個人再生の違い

自己破産と任意整理、個人再生をよく混同している方がいます。

任意整理は弁護士などが債権者に交渉し、債務利息などを減額してもらう手続きです。個人再生は任意整理と異なり、裁判所の手続きになります。裁判所の関与で債務を減額してもらう手続きで、減額の幅は交渉で行われる任意整理よりも、より債務の減額幅が大きくなるのが特徴です。

自己破産は債務の減額や圧縮ではなく、借金自体を免責(ゼロ)にしてもらう手続きになります。任意整理や個人再生とは違っているのです。混同しないように注意してください。

任意整理は利息などをカットすれば返済可能な人に対して使われ、個人再生は債務を圧縮すれば少しずつ返済できる債務者に向く手続きになります。対して自己破産は、任意整理や個人再生では対処しきれない借金苦を抱えた人の借金問題解決方法として使われるのです。

自己破産のメリット

自己破産には4つのメリットがあります。

  1. 債権者からの借金の取り立てが止む
  2. 差押えや強制執行が禁止される
  3. 免責された債務の返済をしなくていい
  4. 人生の再スタートを切れる

自己破産の手続きを進めると、債権者からの取り立てが止みます。

弁護士に自己破産の手続きを依頼していると、原則的に債権者への対応や手続きの連絡なども弁護士が代理しますので、債務者は取り立てが止んだ状態で手続きの完了を待てるというメリットがあります。また、自己破産においては財産の清算を行うため、差押えや強制執行も禁止になるのです。

自己破産の最大のメリットは、債務の免責を得られることです。任意整理や個人再生などでは債務の減額に留まりますが、自己破産は裁判所の関与で債務の免除を受けられます。債務の免責を受けることで、借金のない新しい人生のスタートが切れるのです。

自己破産のデメリット

自己破産にはふたつのデメリットがあります。

  1. 行動や仕事に制限を受ける
  2. すべての借金が免責されるわけではない

自己破産をすると、一部の職業や行動に制限を受けます。ただ、職業については免責決定を受けるまで資格が制限されるため、士業などごく一部の仕事に影響が出るにすぎません。この点については次の見出しで説明します。行動についても手続き中に多少の制限を受けますが、あくまで手続き中に過ぎません。

自己破産をしても、一部の借金が残ってしまう点には注意が必要になります。

自己破産をしても養育費や不法行為による損害賠償、税金や公共料金などの支払いは免責されません。免責されない支払いがあることを知って手続きを利用する必要があります。

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自己破産の誤解や真偽

自己破産についてよくあるウソや誤解をご紹介します。

自己破産の手続きをすると、本当に以下のようなデメリットや制限があるのでしょうか。

自己破産の誤解①会社をクビになる

自己破産をすると会社をクビになるという誤解があります。これは完全に誤解です。

自己破産すると弁護士や税理士などの一定の資格で仕事をしている人は資格の制限を受けるため、仕事の面で影響を受けます。しかし、公務員や会社員の場合は仕事に影響はないため、会社をクビになることはありません。

自己破産の誤解②会社に自己破産を知られる

自己破産は官報などに掲載されるため、官報を日常的に見ている人には知られてしまう可能性があります。しかし官報は国の機関紙なので、大衆紙ほど一般の人が見ているわけではありません。

官報などをチェックしている人が周囲にほぼいなければ、特に知られることなく自己破産を済ませることも可能です。

自己破産の誤解③仕事に就けなくなる

完全なる誤解です。

自己破産は債務を免責して人生をやり直すための手続きです。仕事に就けなくては、新しい人生のスタートが切れません。一定の資格が自己破産に際して制限を受けることが曲解されたのではないかと思われます。

自己破産の誤解④家族も影響を受ける

自己破産をしても家族の財産が差押えされるなどの影響はありません。債務はあくまで債務者本人のものだからです。

ただ、財産にはひとつひとつ名前が書かれているわけではないため、誤解で家族の財産が対象になってしまうことはあり得ます。この場合は破産管財人に対して誤解だと主張することが可能なので、安心してください。

自己破産と家族の関係で唯一気をつけなければならないのは、家族が債務の連帯保証人などになっていた場合です。家族が連帯保証人などになっている場合は、先に弁護士などに相談しておきましょう。

自己破産の誤解⑤戸籍や住民票に記載される

これも完全な誤解です。

戸籍や住民票に破産の事実が記載されることはありません。

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自己破産の誤解⑥旅行できなくなる

自己破産が管財事件になった場合は、転居や旅行が制限されることがあります。これは、破産者とすぐに連絡が取れる状態にしておくためです。

手続きのために破産者に連絡したら「アメリカにいるのですぐ裁判所に行くのは難しいです」などと言われてしまうと、手続きがスムーズに進まなくなってしまいます。あくまで手続き中の話になります。

転居については、正当な理由のある転居まで制限されるわけではありません。自己破産の罰則として転居や旅行が制限されるわけではないので、安心してください。

手続きが同時廃止になった場合は、特に制限はありません。

自己破産の誤解⑦選挙権がなくなる

誤解です。

自己破産しても選挙権がなくなることはあり得ません。

自己破産の誤解⑧近所に知られる

前述したように、官報などをチェックしていれば知られる可能性があります。ただ、官報は大衆紙のようなものではないため、欠かさずチェックしているのは一部の職業の人くらいです。

近所の人に知られる可能性はゼロではありませんが、近所の人がかなり一生懸命探さないと、破産情報を見つけることは難しいと思われます。

自己破産の誤解⑨家財やお金がゼロになる

自己破産をしても家財やお金をすべて取り上げられるわけではありません。誤解です。

自己破産は人生の新たなスタートのための手続きになります。生活のためのお金や家財をすべて取り上げられてしまっては、新生活どころではありません。生活のための家財やお金は残してもらえますので、安心してください。

最後に

自己破産は恐ろしい手続きという印象があるようです。

自己破産の噂話の中にはウソも混じっているため、注意してください。会社をクビになったり、全財産を失って無一文で出直さなければならなかったりするなどの話は、よくある自己破産のウソになります。

自己破産は怖くありません。正しく使えば借金苦の救済手段になるのです。不安な場合は噂の真偽を確認し、適切に手続きを利用してください。

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    弁護士土屋勝裕
    弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所、ペンシルバニア大学ウォートン校留学、上海市大成律師事務所執務などを経て事務所設立。400件程度のM&Aに関与。米国トランプ大統領の娘イヴァンカさんと同級生。現在、M&A業務・M&A法務・M&A裁判・事業承継トラブル・少数株主トラブル・株主間会社紛争・取締役強制退任・役員退職慰労金トラブル・事業再生・企業再建に主として対応
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